2013年2月3日日曜日

4) 2歳までに集団で過ごした方がいいって、本当?

「預けるのはまだ早い、かわいそう、と家族に言われる」
「3歳までは親がそばにいてあげないと」
そんな話をよく耳にします。
ところが「もう自分だけで子育てするのは大変」と悩むお母さんが、
悩みとは裏腹にそう言っていることも多いのです。
それがちょっと気になります。

世界乳幼児精神保健学会という研究機関が、地域のつながりが極端に減った今は、生後4カ月頃から保育園などの落ち着いた温かい環境の中で育つことが、子どもの自己肯定感を高めると発表しました。
生後4カ月とはさすがに私も驚きましたが、2歳までにというデータ、3歳までにというデータ、欧米を中心に各国で乳幼児期の保育の必要性の研究が行われ、注目されています。
なかには数十年にわたる追跡調査があったり、学業成績や成人後の生活水準への影響まで唱える報告もあるほどです。

でも大切なのは、「早くから預けなくては」と焦ることではありません。
あなたのまわりに育児を一緒に楽しめる仲間がいて、いろいろな大人や子どもと触れ合ってのびのび育つ環境があれば、3歳まで家庭で育つことはとても素敵なことです。
大切なのは、3歳児神話にしばられる必要はないということ。
子どもと一緒に過ごす生活を楽しむのもいいし、
預けることを選んでも大丈夫。
お母さんが一番安心できる子育ての方法を見つけていいのです。
頼れる人がいなくて育児がつらいと思っているのだったら、
それでも自分で育てなきゃと頑張りすぎないで。
少し息抜きをして、ホッとしてみてください。
すると子どもと一緒の時間を楽しむエネルギーがわいてきます。
愛情は時間の長さではなく、
たとえ短い時間でも、いかに子どもと向き合うかです。
ていねいな保育を受けていれば、たくましさや生活力も身に付き、
人と関わる力、自己表現、好奇心、運動能力、
いろいろな力をつけていきますよ。

小さいうちは少人数の集団で、
近所で預かってもらうような安心感のある自主保育や、
家庭的な一時保育室も、
家庭からの第一歩にいいかもしれませんね。




3) 母子密着が、いちばん大変。社会とつながろう。

子どもの面倒だけでも大変なのに、ほかの仕事を増やすなんて考えられない、
一人目の子どもをもつお母さんは、特にそう思いがちなようですが、
それは、本当でしょうか。
ぺんぺんぐさでも、はじめは時々そんな心配事が聞かれましたが、実際当番仕事にはすぐに 慣れて、
ぺんぺんぐさを始めて、毎日が楽しくなった!」という声が増えました。
 「自分の気持ちを口で言うのは得意ではない・・・」とはじめは自信なさそうだったお母さんたちが、
今は胸をはってとびきりの笑顔で言っています。
「住みにくくて、引っ越しをずっと考えていたけれど、引っ越さなくてよかった」と、
この間2人が打ち明けてくれて、保育者として仲間として本当に嬉しい言葉でした。

子どもとの時間が中心の毎日は、近所の付き合いの少ないこの時代、
「母子密着」を引き起 こしかねません。
母と子だけの時間が続くと、お母さんだけが頼りなので、抱っこをせがんだり、
遊び相手を要求することが増えてきます。 刺激が少なすぎるので、子どもがもてあまして、
泣いたりぐずったり、わがままを要求することも増えてきます。
お母さんはますます自分の時間がなくなり、思うようにいかないわが子に、イライラが募ります。
お母さんもいつも目の前にいるわが子が気になって、小さな問題にも見逃せなくなりがちです。
お母さんのイライラが子どもに伝わり、子どもはますます不安定になりがちです。

そんな悪循環は、子どもの成長にいいわけありません。
少しの仕事は、お母さんの気分転換になります。
生活に張り合いが生まれると、 不思議なことに、今までダラダラやっていた家事などが、はかどります。
役割をもつと「社会とつながっている」「社会に役立っている」という安心感も生まれます。
誰かとつながっていれば、子どもとの上手な過ごし方のコツも教えてもらったりします。

ひとりで子育てしないで。
育児だけにすべてをそそがないで。
安心感が、一番子どもにいい影響を与えるのですよ。
そして、育児が不思議と楽しくなるのです。

2013年2月2日土曜日

2) ひとりで子育てなんて、できないよ。

15年前、長女が生まれた時、直感でそう思いました。
子どもと二人きりだと、なんだか気持ちが煮詰まって、イライラしてしまう。
怒らなくていいことに、つい叱りとばしてしまいそうになる。
でも、約束しなければ誰かに会うことができない時代です。
近所の道端で子どもの声が聞こえるたびに、 偶然を装って通りかかり、一緒に遊んでもらいました。
一緒に公園に行ける仲になるまで、ずいぶんかかりました。
お互いの家に行き来できるまで、もっとかかりました。

子どもは、子ども同士でずっと一緒にいたいのです。
子どもは、子ども同士で学ぶことがとっても多いのです。
好き嫌いが多くて食が細くても、友だちと一緒だとびっくりするほどよく食べます。
友だちがおしっこする姿をみれば、自然にトイレに挑戦したくなります。
たくさん遊んで満足できれば、グズることも少なく、寝つきもいい。
子ども同士で育ち合ってくれると、親もとってもラクなのです。
ところが親である大人同士が、妙な遠慮をし合って、気のつかい合い。
ホントに育児しにくい時代です。

だからお母さんたちと一緒に作る青空保育ができないか、と思いました。
わが子をいろんな大人が見ていてくれる。
井戸端会議ができて、「遊びにこない?」と気軽に言えて、 大変な時は友だちの家でも子どもを預かってもらえる。
数十年前ではあたりまえだったことが、青空保育では可能です。
子どもにとって、大人にとって、安心感は必要なのです。

そして、もしあなたの近所に青空保育がなかったら、
少し強引に、まずあなたが近所の子を自宅に預かってみることをおすすめします。
預かると大変、と思いますか?
とんでもない。
遊び相手がいるので、自分の子がもてあましてグズグズ言うこともないし、
お母さんにまとわりつかないので、横目で様子を見ながら家事がはかどります。
よその人がいると、風穴があいて、イライラが減ってわが子を怒らずにすみます。
 「ごめんね~、預からせてもらうと、とってもラクなのよ~」
と続けているうちに、時々あちらも預かってくれるようになってきますよ。

2013年2月1日金曜日

1) 育児がしんどいのは、社会のせいです。

お母さんのせいでは、ありません。


なんだかイライラする。

子どもはかわいいのに、ついイヤな言葉を吐いてしまう。
怒りすぎて、子どもの寝た後、ふと「ごめんね」と思う。
育児本を読むけれど、その通りにできなくて不安になる。
そういえば今日1日、自分の時間なんてあったっけ・・・

こんな思いをしたことは、ありませんか。
そんな自分を不安に思ったことは、ありませんか。
でも、育てにくいとしても、それはお母さんのせいではないのです。
今の社会は「いまだかつてないほど子育てしにくい社会」と、言われています。
あなただけではなく、多くのお母さんが同じような思いをしています。
そのことを知らなくて、苦しんでいるお母さんが、とても多いのです。

実は「専業主婦」という言葉は、高度経済成長期にうまれたそうです。
それまでは、妻も近所の工場(こうば)(や家業や畑を手伝って
おじいちゃんもおばあちゃんも近所の人も一緒になって、子どもを育てていました。
そして近年、近所のつながりがぐんと減りました。
となりにどんな人が住んでいるか、わからない時代になりました。
「子どもは母親が育てるもの」となり、さらに近所に助けてくれる人もいなくなりました。
マニュアル通りに育たない生身の子どもを、ひとりで育てられるわけがない。

ひとりで子育てしなくていいよ。
たまった思いを聞いてもらえるだけで、気持ちが軽くなるよ。
思うようにならないのは自分だけではないと知ると、力が湧いてくるよ。
子どもってひとりひとり違うとわかれば、肩の力が抜けるよ。
お互いの子どもの成長を喜びあえる仲間がいれば、育児が楽しくなるよ。

このように、2012年3月に始まった、青空保育ぺんぺんぐさ。
仲間がいるだけで、育児が全くちがうものになります。
仲間づくりが得意でない人も加われるように、保育士もお手伝いします。
それから、子どもってこんなもんだよ、ということもお伝えできると思います。
早くもお母さんたちが、たくましい表情を見せてくれるようになって、嬉しい毎日です。